少し秋。
赤とんぼがやって来た。 子供の頃に住んでいた辺りには空き地がいくつもあって、 わたしたちはそこで花を摘んだり、おしゃべりをしたり、おやつを食べたり、ままごとをしたりした。 空き地は遊び場だった。 秋になると夥しい数の赤と…
赤とんぼがやって来た。 子供の頃に住んでいた辺りには空き地がいくつもあって、 わたしたちはそこで花を摘んだり、おしゃべりをしたり、おやつを食べたり、ままごとをしたりした。 空き地は遊び場だった。 秋になると夥しい数の赤と…
或る日の店先。 通り掛かっただけの、でもとても素敵だと思った。 ここから物語が始まる、そんな店だった。 或る日の箸箱。 タイ料理屋のテーブルに置かれていた。 途端に東京から離れているような気分を味わう。 或る日の椅子。 …
猫の視線の先に、小糠雨に濡れた鳩。 かつて、いくつものこんな夜を一緒に過ごした友と、心地良い時間を過ごす。 もの思いに耽る夜。 ふと、旅の夜を思い返す。 金色のお池を泳ぐ鯉。 横浜、寿町の異国。 わたしの幼い頃と同じ遊び…
鳥羽の駅前には大きな鳥居がある。 この道がどこへ続くのか、わたしたちは確かめることをしなかった。 地図の上で見ると、駅のこちら側には賑わう場所があるようなのだが、 時間と気持ちの余裕がなかった。 時間について言えば、鳥羽…
二見立石浜を眺める佳き場所に在る賓日館という素敵な建物。 1887年、明治20年に明治天皇のお母上、英照皇太后ご宿泊の為に建設され、 その後、皇室の方々が避暑や療養に滞在された。 玄関の灯りがとても良い。 日本のものでは…
鳥羽から電車に乗って二見浦へ。 鳥羽駅の「赤福」のベンチは少し新しい。 二見浦駅のベンチは趣がある。 古くなっても良いものは良いし、新しいものと取り替えられたらつまらないってことだってある。 二見浦の駅舎を出ると広い駐車…
伊勢市駅から外宮に向かう参道には古くから残された建物がいくつも在る。 このままピカピカの新しい建物に変わらずに在って欲しいと思う。 宿を決める時に古く趣のある宿を選ばなかったのだから、勝手も甚だしいのだが。 初めての外宮…
列車の旅。 雨上がり、西へ向かう。 東京から新幹線に乗り、品川から乗って来る友と合流。 名古屋で「みえ号」に乗り換える。 古いままになっている連絡通路のタイル貼りが美しい。 「みえ号」に乗って伊勢へ。 連結された車両と車…
呉という町。 初めて訪れた呉は、「街」よりも「町」と書く方が似合っているように思えた。 狭くはない。 「街」としてありながら、「町」の親しみ易さがあった。 駅のロータリーにある「未来」という像と、木陰に集まる鳩。 鳩も日…
雨上がりに熊野神社のお祭りへ。 ここは地元の人たちに親しまれている神社。 今年は夏祭りも盆踊りも逃してしまったので、偶然通りかかったお祭りが嬉しい。 子供の頃は母に浴衣を着付けてもらって、お祭りに行った。 大きなりんご飴…